前鬼川下部遡行
2024-10-14
■日時
10/14(月)
参加メンバー:てつくん(リーダー)、おーさん、はむくん(私)
参考タイム:駐車場(10:00)・・・林道歩き入渓点(10:25)・・・七重の滝落口(11:20)・・・入渓点(11:50)・・・大滝(13:20)・大滝上の渡渉(14:00)・・・黒谷(15:30)・・・車(15:50)
前鬼川の下部に行ってきました。いつものところに車を停めて、林道をトンネルのところまで戻り入渓、そこから七重の滝の落口まで下って改めて遡行、いつもの入渓地点である黒谷で終わるという計画です。
YouTubeで泳いでいるところは見ましたが
「これは夏だからね、横の岩の上をちょいちょいと行けばいいや」
普段、車から見える前鬼川下部は明るくて高度差もあまりないので
「るんるん河原歩きかな」
という軽い気持ちで参加しました。ところがところが大間違い、とんでもないところでした。泳ぎ、胸まで浸かる渡渉の連続、大滝に、急流、必死のパッチで遡行したのですが10月に行くところではなかったですね。真夏がいいです、真夏。
入渓Pointでいきなり厳しいへつり。ぬれたくなかったので、頑張ってややこしいところを通過。そしてほっとしたところでツルッとドボン。あーあ。ショック。てつくんとおーさんは安全に水の中を進みます。同じ濡れるにしてもドボンはダメージがあります。ショックから立ち直れないまま、どうしようもない滝に到着。深くて広い釜。
「これは泳がんと行かれへん」これを見た私は早々にギブアップ。
「てつくん、落ち口には行けへん、ここで待ってるわ、まじで」
だけどこの滝降りたらどうやって登るンやろ、つるつるの滑り台のような斜面に絶壁、これ登られへんで。
「巻きますわ、たぶん」とてつくん。
高巻きならどこ通るかわからないので、はぐれたらやばいと思ってやっぱり行くことに。それでずるずる下り始めると支点となるボルトがねじ込んであるのを発見。どちら様か存じ上げませんがありがとうございます。
「ここにシュリンゲをたらしておけば登ってこれるんちゃう」とズルズル降りて、釜を泳いで突破、そこからもなんとかかんとか進んで七重の滝の落口へ。
やりました。だけど怖いな。今度があれば長ーいロープを命綱に落口の先端までいってみますか。
七重の滝の落口。なんか異様な空間。
さあここから戻ります。問題の滝に到着。やけくそで泳いでシュリンゲのところに。絶壁の高さは2mもないくらいですかね。まずシュリンゲを持って立ち込んでから、手の力で両足を一歩づつ踏み込む。これで身体は地面に水平な感じ。ここからが本番でさらに腕の力でシュリンゲをたぐり寄せ上体を起こす。たぐり寄せると言うことは片手になる瞬間があると言うことです。腕はすでにパンパンですが
「ここでやらないと2回目はない、これで落ちたら頭から落下して死ぬ」と死の恐怖を感じながらなんとか腕を前に出して持ち替えて上体を起こすことに成功、無事一撃で登りました。この前の海の溝でもF1で全体力を使い切りましたが今回も開始早々でやられました。
クライマーのおーさんもてつくんもこの壁には苦戦。ザックだけ先にあげて、別のシュリンゲも垂らして引っ張って、などなどたいへんでした。
問題の滝の釜、奥の左側がシュリンゲの絶壁。10月に何で泳いでんねん。あほちゃう。
それでやっと入渓点、スタートに戻りました。1時間半、寒くなってきたしやめるならいまですよ、てつくん。ここからなら林道にすぐに戻れるのですが、前鬼の美しさに感動しっぱなしのリーダーには林道など眼中にありませんでした。
冷たくてつらくて楽しい遡行が続きます。右に曲がっては泳ぎの淵に絶望し、左に曲がっては前鬼ブルーの自然美に酔いしれる。
身体の震えが止まらないままなんか不気味な二段の大滝に到着しました。
「上のあの滝は登られへんで、両側も切り立ってるし。引き返すなら今ですぜ、旦那」と、てつくんに言ってみるものの
「とりあえず行けるところまでは行きましょう」とまじめなリーダー。
それで渋々、泳いで取り付いて下の滝の横を進み、薄暗い大釜をもった大滝に。行ってみると左端からよじ登れそう。近くに行くと手すりのような木の根もあり上に行けました。あーよかった。木の根は大好きです。
大滝の上に出ることができて喜んでいるとまた新たな問題が。川幅が狭まっていて急流になっていて越せないんです。ちょっと足を入れてみると流されそうでやばい。大滝の落口にすぐ、ではなく「急流―渦巻いているプール、一段下がって落口」という感じでした。流されてもプールで止まりそうですが渦巻いていて怖い。弱点を探していてジャンプしかないと決断。川幅は1mくらいですが向こう岸がちょっと斜め。微妙に斜め。
「少しへこんでいるところめがけて飛んで、手はあそことあそこ」何度も何度もシミュレーションして決死のジャンプ。
足はうまく立てたんですが、手が決まらず後ろに跳ね返されそうになりもう一度もがいて手を出して、、、その間多分0.何秒。よく死ぬ時に人生が走馬灯のように思い出されると言いますが(死んだことがないので知らんけど)手の動きがなんかスローモーションに見えて
「あのくぼみをつかむ、斜面にへばりつく。なんか脳内に駆け巡っているぞ、俺はこのまま後ろにたおれて流されて死ぬのか」と本日2回目の恐怖の体験。
恐怖体験をした樋状になった川
これでラスボス終了。あとはどこに行っても超絶美しい前鬼。
身体の震えもなんとか収まり無事黒谷に到着しました。よかった、よかった。
今回はリーダーのてつくんに感謝です。私がリーダーなら寒さで心が折れて途中でやめてました。
沢登りをしていて寒いとき中島みゆきの歌が頭の中で駆け巡ることがあります。それは1年に1回あるかないかなんですが今回は1日に何度も流れていました。
「ファイト 冷たい水の中を、震えながら登ってゆけ」
10/14(月)
参加メンバー:てつくん(リーダー)、おーさん、はむくん(私)
参考タイム:駐車場(10:00)・・・林道歩き入渓点(10:25)・・・七重の滝落口(11:20)・・・入渓点(11:50)・・・大滝(13:20)・大滝上の渡渉(14:00)・・・黒谷(15:30)・・・車(15:50)
前鬼川の下部に行ってきました。いつものところに車を停めて、林道をトンネルのところまで戻り入渓、そこから七重の滝の落口まで下って改めて遡行、いつもの入渓地点である黒谷で終わるという計画です。
YouTubeで泳いでいるところは見ましたが
「これは夏だからね、横の岩の上をちょいちょいと行けばいいや」
普段、車から見える前鬼川下部は明るくて高度差もあまりないので
「るんるん河原歩きかな」
という軽い気持ちで参加しました。ところがところが大間違い、とんでもないところでした。泳ぎ、胸まで浸かる渡渉の連続、大滝に、急流、必死のパッチで遡行したのですが10月に行くところではなかったですね。真夏がいいです、真夏。
入渓Pointでいきなり厳しいへつり。ぬれたくなかったので、頑張ってややこしいところを通過。そしてほっとしたところでツルッとドボン。あーあ。ショック。てつくんとおーさんは安全に水の中を進みます。同じ濡れるにしてもドボンはダメージがあります。ショックから立ち直れないまま、どうしようもない滝に到着。深くて広い釜。
「これは泳がんと行かれへん」これを見た私は早々にギブアップ。
「てつくん、落ち口には行けへん、ここで待ってるわ、まじで」
だけどこの滝降りたらどうやって登るンやろ、つるつるの滑り台のような斜面に絶壁、これ登られへんで。
「巻きますわ、たぶん」とてつくん。
高巻きならどこ通るかわからないので、はぐれたらやばいと思ってやっぱり行くことに。それでずるずる下り始めると支点となるボルトがねじ込んであるのを発見。どちら様か存じ上げませんがありがとうございます。
「ここにシュリンゲをたらしておけば登ってこれるんちゃう」とズルズル降りて、釜を泳いで突破、そこからもなんとかかんとか進んで七重の滝の落口へ。
やりました。だけど怖いな。今度があれば長ーいロープを命綱に落口の先端までいってみますか。
七重の滝の落口。なんか異様な空間。
さあここから戻ります。問題の滝に到着。やけくそで泳いでシュリンゲのところに。絶壁の高さは2mもないくらいですかね。まずシュリンゲを持って立ち込んでから、手の力で両足を一歩づつ踏み込む。これで身体は地面に水平な感じ。ここからが本番でさらに腕の力でシュリンゲをたぐり寄せ上体を起こす。たぐり寄せると言うことは片手になる瞬間があると言うことです。腕はすでにパンパンですが
「ここでやらないと2回目はない、これで落ちたら頭から落下して死ぬ」と死の恐怖を感じながらなんとか腕を前に出して持ち替えて上体を起こすことに成功、無事一撃で登りました。この前の海の溝でもF1で全体力を使い切りましたが今回も開始早々でやられました。
クライマーのおーさんもてつくんもこの壁には苦戦。ザックだけ先にあげて、別のシュリンゲも垂らして引っ張って、などなどたいへんでした。
問題の滝の釜、奥の左側がシュリンゲの絶壁。10月に何で泳いでんねん。あほちゃう。
それでやっと入渓点、スタートに戻りました。1時間半、寒くなってきたしやめるならいまですよ、てつくん。ここからなら林道にすぐに戻れるのですが、前鬼の美しさに感動しっぱなしのリーダーには林道など眼中にありませんでした。
冷たくてつらくて楽しい遡行が続きます。右に曲がっては泳ぎの淵に絶望し、左に曲がっては前鬼ブルーの自然美に酔いしれる。
身体の震えが止まらないままなんか不気味な二段の大滝に到着しました。
「上のあの滝は登られへんで、両側も切り立ってるし。引き返すなら今ですぜ、旦那」と、てつくんに言ってみるものの
「とりあえず行けるところまでは行きましょう」とまじめなリーダー。
それで渋々、泳いで取り付いて下の滝の横を進み、薄暗い大釜をもった大滝に。行ってみると左端からよじ登れそう。近くに行くと手すりのような木の根もあり上に行けました。あーよかった。木の根は大好きです。
大滝の上に出ることができて喜んでいるとまた新たな問題が。川幅が狭まっていて急流になっていて越せないんです。ちょっと足を入れてみると流されそうでやばい。大滝の落口にすぐ、ではなく「急流―渦巻いているプール、一段下がって落口」という感じでした。流されてもプールで止まりそうですが渦巻いていて怖い。弱点を探していてジャンプしかないと決断。川幅は1mくらいですが向こう岸がちょっと斜め。微妙に斜め。
「少しへこんでいるところめがけて飛んで、手はあそことあそこ」何度も何度もシミュレーションして決死のジャンプ。
足はうまく立てたんですが、手が決まらず後ろに跳ね返されそうになりもう一度もがいて手を出して、、、その間多分0.何秒。よく死ぬ時に人生が走馬灯のように思い出されると言いますが(死んだことがないので知らんけど)手の動きがなんかスローモーションに見えて
「あのくぼみをつかむ、斜面にへばりつく。なんか脳内に駆け巡っているぞ、俺はこのまま後ろにたおれて流されて死ぬのか」と本日2回目の恐怖の体験。
恐怖体験をした樋状になった川
これでラスボス終了。あとはどこに行っても超絶美しい前鬼。
身体の震えもなんとか収まり無事黒谷に到着しました。よかった、よかった。
今回はリーダーのてつくんに感謝です。私がリーダーなら寒さで心が折れて途中でやめてました。
沢登りをしていて寒いとき中島みゆきの歌が頭の中で駆け巡ることがあります。それは1年に1回あるかないかなんですが今回は1日に何度も流れていました。
「ファイト 冷たい水の中を、震えながら登ってゆけ」