自宅浪人
2017-12-16
落ちた。
出身の宇都宮には大手予備校は存在しない。はるばる1時間半かけて大宮の予備校に通うか、名も知れぬ個人の指導塾に通うか、自宅浪人するかのいずれかを迫られる。
私は自宅浪人を選んだ。
ある種特別な時間である。まだ18でありながら一切の身分が存在しない。学生でもなければ大人でもない。
はて、何事も最初はやる気があるものである。私は数学ができなかった。学校で貰った数学の問題集をもう一周した。評判の良い本を買った。毎日図書館にこもった。
夏、模試の季節である。あれから生まれ変わった私は、無双とはいかないまでも、去年に比べれば遥か上の成績を残した。
こうなると気が緩むのが人間の性である。
咎めてくれる人は周りにはいない。親は頼りにはならぬ。
現役生が実力を伸ばす秋、私は何をしていたのだろう。図書館には行かなくなっていた。隠れてゲームをすることが増えた。
センターが近づいてきてようやく少し焦るようになった。しかし相談できる相手はいない。親に八つ当たりすることが増えた。
結局センターは十分な点数を取り、二次試験も無事合格できたが…
宅浪によって実力が伸びたかと言われれば、答えは否である。1年間を通してみれば、差し引き0、現状維持が精一杯であった。
問題ガチャで当たりを引いただけに過ぎない。
宅浪には、強いモチベーターが不可欠である。それなしで徒らに1年を費やしても、結局あまり変わらずに再戦を挑むこととなるだけである。
また自宅に籠る以上、周りに同じ境遇の理解者はおらず、会う機会もなくなってしまう。これが思うよりも厳しい。周りが見えず、独りよがりになりがちになる。
やはりこれらをてっとり早く解決するなら、予備校やらに行くのがいいのだろう。
とまあきっと立たないのであろう私の経験を書き記してみた。
それでは
(文責 みやりん)