肝クリアランスにおけるfree fraction theoryは十分正確か?2
2024-12-10
前回のブログに関連して、とても良い総説論文がありましたので、ご紹介します。
Schulz, J. A., Stresser, D. M., & Kalvass, J. C. (2023). Plasma protein-mediated uptake and contradictions to the free drug hypothesis: a critical review. Drug metabolism reviews, 55(3), 205-238.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/03602532.2023.2195133
薬物(毒物)の代謝(解毒)に関連する、肝臓(とおそらく腎臓)においては、free drug hypothesis (FDH)では説明できない代謝・排泄の寄与が大きいことを示す多数の論文が紹介されています。(他の臓器についてはFDTどおりになるようです。)
この論文は薬物動態の方のみならず、物性研究者も是非読まれると良いと思います。
これまで何十年もの間、薬物動態においてはFDHが標準的な理論とされてきました。しかし、もしかすると大幅に見直す必要があるのではないかと思います。
ところで、生体の解毒作用という視点に立てば、タンパク結合した薬物(毒物)が、肝臓で、直接(あるいは局所的に非解離型分率を上げて)代謝されるというのは、むしろ当たり前のことなのかもしれないと思いました。
タンパク結合していない薬物(毒物)は一般に水溶性が高く、糸球体ろ過により腎排泄されます。
一方、脂溶性が高い薬物(毒物)は、主にタンパク結合した形で、血流や肝細胞内に存在します。タンパク結合した形では、肝臓以外では薬効も毒性も出にくいと考えられます。生体防御の視点に立てば、そのようにタンパク結合した安全な状態の薬物(毒物)から、直接(あるいは局所的に非解離型分率を上げて)、代謝(解毒)するのが、生体にとって安全かつ合理的なのかな?と思うのです。逆に、非結合型薬物(毒物)のみを代謝(解毒)するというのは、非効率的で、かつ、危ないわけです。もちろん、上記は単なる推論ですが、進化の過程で、自然選択の結果、生存に合理的な生物が生き残ってきていることを考えると、そうなるのかな?と思いました。
Schulz, J. A., Stresser, D. M., & Kalvass, J. C. (2023). Plasma protein-mediated uptake and contradictions to the free drug hypothesis: a critical review. Drug metabolism reviews, 55(3), 205-238.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/03602532.2023.2195133
薬物(毒物)の代謝(解毒)に関連する、肝臓(とおそらく腎臓)においては、free drug hypothesis (FDH)では説明できない代謝・排泄の寄与が大きいことを示す多数の論文が紹介されています。(他の臓器についてはFDTどおりになるようです。)
この論文は薬物動態の方のみならず、物性研究者も是非読まれると良いと思います。
これまで何十年もの間、薬物動態においてはFDHが標準的な理論とされてきました。しかし、もしかすると大幅に見直す必要があるのではないかと思います。
ところで、生体の解毒作用という視点に立てば、タンパク結合した薬物(毒物)が、肝臓で、直接(あるいは局所的に非解離型分率を上げて)代謝されるというのは、むしろ当たり前のことなのかもしれないと思いました。
タンパク結合していない薬物(毒物)は一般に水溶性が高く、糸球体ろ過により腎排泄されます。
一方、脂溶性が高い薬物(毒物)は、主にタンパク結合した形で、血流や肝細胞内に存在します。タンパク結合した形では、肝臓以外では薬効も毒性も出にくいと考えられます。生体防御の視点に立てば、そのようにタンパク結合した安全な状態の薬物(毒物)から、直接(あるいは局所的に非解離型分率を上げて)、代謝(解毒)するのが、生体にとって安全かつ合理的なのかな?と思うのです。逆に、非結合型薬物(毒物)のみを代謝(解毒)するというのは、非効率的で、かつ、危ないわけです。もちろん、上記は単なる推論ですが、進化の過程で、自然選択の結果、生存に合理的な生物が生き残ってきていることを考えると、そうなるのかな?と思いました。