クリアランスはモデル依存出来か?
2024-11-30
クリアランスはモデル依存的か?という議論は、以前にも取り上げました。
https://www.c-sqr.net/c/pcfj/reports/493410
ここでは、もう少し掘り下げて議論したいと思います。
薬物動態分野において、クリアランス(CL)は、排泄速度(EL)と薬物濃度(C)から、以下のように定義されています。
排泄速度(EL) = 薬物濃度(C) x クリアランス(CL) (1)
この式はモデル依存的でしょうか?
そこで、この式を少し書き換えてみましょう。体内にある薬物量をXとすると
EL = -dX/dt = CL x C = CL/Vd x X = kX (2)
(X = C x Vd、k= CL/Vd)
になります。つまり
dX/dt = - kX (3)
ですね?これは、1次の反応式です。つまり1次反応とモデル化(=近似)しているのではないでしょうか?実際、1次でない可能性だってあります。他のモデルを仮定すれば(例えば2次反応とか?)CLの値は異なってきます。
式(1)の左辺の排泄速度を全時間にわたり積分すると総排泄量になります。静脈内投与の場合、総排泄量=投与量になりますので、Eq.1 の左辺は投与量(Dose)になります。
一方、右辺のCの全時間にわたる積分は、AUCです。
したがって、Eq.1は
Dose = CL x AUC (4)
となりますので、
CL = Dose/AUC (5)
になります。ここで重要なのは、クリアランスは薬物濃度や時間に依らず一定と仮定していることです。つまり、この意味においても、クリアランスは仮定(モデル)依存的です。
一方で、AUCは単なる面積なのでモデル非依存的です。
一般に、現実世界を何らかの数式で表すときには、必ずモデル化(近似、理想化)されています。なので、そのモデルを用いて実験データから逆算されたパラメータはすべてモデル依存的です。
https://www.c-sqr.net/c/pcfj/reports/493410
ここでは、もう少し掘り下げて議論したいと思います。
薬物動態分野において、クリアランス(CL)は、排泄速度(EL)と薬物濃度(C)から、以下のように定義されています。
排泄速度(EL) = 薬物濃度(C) x クリアランス(CL) (1)
この式はモデル依存的でしょうか?
そこで、この式を少し書き換えてみましょう。体内にある薬物量をXとすると
EL = -dX/dt = CL x C = CL/Vd x X = kX (2)
(X = C x Vd、k= CL/Vd)
になります。つまり
dX/dt = - kX (3)
ですね?これは、1次の反応式です。つまり1次反応とモデル化(=近似)しているのではないでしょうか?実際、1次でない可能性だってあります。他のモデルを仮定すれば(例えば2次反応とか?)CLの値は異なってきます。
式(1)の左辺の排泄速度を全時間にわたり積分すると総排泄量になります。静脈内投与の場合、総排泄量=投与量になりますので、Eq.1 の左辺は投与量(Dose)になります。
一方、右辺のCの全時間にわたる積分は、AUCです。
したがって、Eq.1は
Dose = CL x AUC (4)
となりますので、
CL = Dose/AUC (5)
になります。ここで重要なのは、クリアランスは薬物濃度や時間に依らず一定と仮定していることです。つまり、この意味においても、クリアランスは仮定(モデル)依存的です。
一方で、AUCは単なる面積なのでモデル非依存的です。
一般に、現実世界を何らかの数式で表すときには、必ずモデル化(近似、理想化)されています。なので、そのモデルを用いて実験データから逆算されたパラメータはすべてモデル依存的です。