BCS class III薬物の生物学的同等性

2023-03-03
BCS class IIIの薬物は、製剤間で生物学的同等性(Bioequivalence, BE)を得ることが難しいのではないか?そう思っている方が、とても多いと思います。
実際、BCSに基づくBE試験免除スキーム(BCS based biowaiver scheme (BCS -BWS))では、BCS class IIIの溶出試験の判断基準は、厳しめに設定されています(very rapid dissolution, > 85% at 15 min)。

一方で、生物薬剤学の速度論の観点からは、BCS class III薬物の経口吸収は膜透過律速になると考えられ、製剤間のBEはむしろ得られやすいはずです。

どちらが正しいのでしょうか?

今回紹介する論文では、実際に、BCS class III薬物であるファモチジンの溶出性が、OD錠とIR錠で大きく異なる製剤間でも、BEが得られていることを示しています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpb/71/3/71_c22-00685/_article/-char/en

さらに、シミュレーション検討も行っており、BCS class IIIの溶出試験の判断基準は緩和しても良いことが示唆されています。

今回の論文では、生物学的同等性について正しく考察するには、律速段階を理解することが肝心であることが、改めて示されました。多数のジェネリック品が販売されているファモチジンを用いており、このことがより明確に示されています。

以下の論文も併せてご一読いただけますと、BCS class III薬物のBEに関して、見方が大きく変わると思います。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0928098714003121?via%3Dihub

https://pub.iapchem.org/ojs/index.php/admet/article/view/338