炭酸緩衝液を用いたフロースルーセル法による大腸DDS製剤の評価

2022-11-13
今年のPCF-Jのテーマは、経口製剤に関するIn vitro - in vivo correlation (IVIVC)です。

IVIVCには様々な要因が関係していますが、以下の論文では、pH依存大腸デリバリー製剤の評価に対する、緩衝液と溶出試験装置(パドル vs. フロースルー)の影響を検討しています。

Ikuta, S., Nakagawa, H., Kai, T., & Sugano, K. (2022). Development of bicarbonate buffer flow-through cell dissolution test and its application in prediction of in vivo performance of colon targeting tablets. European Journal of Pharmaceutical Sciences, 106326.

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0928098722002111?via%3Dihub

https://doi.org/10.1016/j.ejps.2022.106326

まず、特筆すべき点は、炭酸緩衝液を用いたフロースルーセル法を確立した点です。

炭酸緩衝液は、以前このブログでも紹介した落し蓋を用いています。
https://www.c-sqr.net/c/pcfj/reports/446149
https://www.c-sqr.net/c/pcfj/reports/475089

フロースルー法では、溶液を切り替えるだけでpH変化も反映できますので、胃pHの影響も組み込まれています。

本検討では、実際に臨床試験でnon-BEとなった製剤を用いた評価をしています。これは、アカデミアではなかなかできない研究です。

結果として、炭酸緩衝液とフロースルー法の組み合わせで、臨床を反映した溶出試験法を確立することができています。

今後、本法が、大腸デリバリー製剤の開発に役に立つと期待されます。