ラットのFa予測

2022-02-16
GUT frameworkによるラットFa予測に関する論文です。

Prediction of Oral Drug Absorption in Rats from In Vitro Data
Pharm Res
https://link.springer.com/article/10.1007/s11095-022-03173-6

実は、ヒトと比較して、ラット消化管の生理学的パラメータについての文献情報が少なく、これまでFa予測は報告されておりませんでした。

今回の検討から、ラットFaを、ある程度の精度でin vitro dataからのボトムアップで予測できることがわかりました。ラットFa予測には、種差の大きい胆汁濃度および消化管溶液量を正しく設定することが大切です。また、膜透過モデルにはfree fractionと非攪拌水層を明示的に組み込む必要があります。(注意: Peff =aPapp^bでは種差を説明できません。)

また、本論文では、Fa予測とFaRLSを利用した、薬理試験や安全性試験用の製剤作成の効率化についてもディスカッションしています。

ほとんどの日本の会社では、動物実験担当者が製剤(懸濁液)を調製していると思います。その際、乳鉢で粉砕している場合も多いと思います。粉砕による粒子径や結晶形の変化には十分注意してください。再現性の良い試験を行うには、懸濁液状態での、粒子径と結晶形をしっかり把握し記録しましょう。

粒子径および結晶/アモルファスは、偏光顕微鏡で非常に簡単にわかります。この写真を撮っておくだけでも、その後のデータの解析にとても役に立ちます(粉末エックス線データもあるとさらによい)。

各社でリソースの問題もありますが、物性や製剤の研究者が、もうすこし前臨床動物試験用の製剤作成に関与すると、薬理試験や安全性試験の再現性が良くなると思います。

今後、本研究の成果が、各社で役に立つことを期待します。