胆汁ミセル非結合型分率と食事の負の影響 その2

2020-10-02
前回のブログで、胆汁ミセル非結合型分率と食事の負の影響、についての論文を紹介しました。

https://www.c-sqr.net/c/pcfj/Circle_detailReport.html?report_id=431202

以下、2点ほど、この論文の「みどころ」を追加します。

メカニズムベースPeff

この論文で使用しているメカニズムベースPeff式では、Pappに対する(経験的)補正無しに、Faを予測できます。メカニズムベースPeff式では、各膜透過メカニズムや生理的条件、すなわち非攪拌水層、Paracellular、胆汁ミセル結合、ひだ・絨毛構造など、がモデルに組み込まれているので、補正は必要なくなります。本来、"Physiologically-Based" PKモデルは、経験的補正が無いのが理想です。(どうしても経験的補正を行う必要がある場合、PBPKに統計モデルを持ち込むことになりますので、統計モデルの手法に基づいて、凡化性能やモデル式の適応範囲(=内挿)を十分に考慮すべきです。)

薬物固有の胆汁ミセル分配係数Kbm値

この論文では、胆汁ミセルへの分配係数(の対数)log Kbmと、logPoctの間に良好な線形関係が認められます。このように「固有(intrinsic)」な物性値では、線形自由エネルギー関係(Linear free energy relationship)が得られる場合が多いです。このことは、SAR予測性の点からも、現象の理解の点からも、とても重要です。