過飽和原薬の粒子表面におけるフリー体析出
2020-04-14
塩や共結晶(過飽和原薬)にしたのに、なぜか過飽和しない???そんなこと、ありますよね。
最近、過飽和原薬の粒子表面におけるフリー体析出について研究しています。
これまで、表面析出は、Intrinsic dissolution rate (IDR) testの円盤上で、多く報告されています。通常、IDRはsink条件で行われるので、表面析出は非攪拌水層内におけるフリー体の高い過飽和により発生します。
一方、non-sink条件における「粒子」溶出の場合、小さい粒子は素早く溶けるため、バルク溶液からの析出により過飽和が抑制されると、”なんとなく”考えられているのではないでしょうか?(例:Spring and parachute)。
しかし、実際には、粒子表面にフリー体が析出する場合もあるのではないかと思い、研究をしています。特に共結晶は、表面のpH勾配が無いので、表面析出が起きやすいと思います。
しかし、IDRで用いる円盤(disk)と比べて、水中に浮遊している小さい粒子表面でフリー体析出が発生していることを実験的に証明するのは、意外と難しいのです。
そこで、最近、原薬「粒子」表面析出について研究する方法を幾つか提案しています。この分野は、まだまだ発展の余地がかなりあります。是非、応援してくださいね。
Omori, M., Uekusa, T., Oki, J., Inoue, D., & Sugano, K. (2020). Solution-mediated phase transformation at particle surface during cocrystal dissolution. Journal of Drug Delivery Science and Technology, 56, 101566.
共結晶が、粒子の外形を残したまま、瞬時にフリー体(の凝集体)に変化するのが面白い。また、非攪拌層を透過する平均時間(mean diffusion time, tdiff)と非攪拌水層におけるinduction time (tind)を考えることで表面析出の発生を、ある程度考察できるのではないかと考えています。
Uekusa, T., Oki, J., Omori, M., Watanabe, D., Inoue, D., & Sugano, K. (2020). Effect of buffer capacity on dissolution and supersaturation profiles of pioglitazone hydrochloride. Journal of Drug Delivery Science and Technology, 55, 101492.
緩衝能が粒子表面析出に与える影響。緩衝能で過飽和が大きく影響を受ける。JP2やFaSSIFの緩衝能で大丈夫?
Oki, J., Watanabe, D., Uekusa, T., & Sugano, K. (2019). Mechanism of supersaturation suppression in dissolution process of acidic drug salt. Molecular pharmaceutics, 16(4), 1669-1677.
表面でLLPS→結晶化。偏光顕微鏡の実力発揮!JP1で大丈夫?
ジクロフェナック(pKa = 4)の平衡溶解度はpH < 3ではほぼ同じですが、
過飽和はpH 1.2と2.0でこんなに違う?!と驚きの結果になりました。
Uekusa, T., & Sugano, K. (2018). Precipitation behavior of pioglitazone on the particle surface of hydrochloride salt in biorelevant media. Journal of pharmaceutical and biomedical analysis, 161, 45-50.
百聞は一見に如かず。粒子の固定方法は一見単純ですが、実はかなり試行錯誤しました。
最近、過飽和原薬の粒子表面におけるフリー体析出について研究しています。
これまで、表面析出は、Intrinsic dissolution rate (IDR) testの円盤上で、多く報告されています。通常、IDRはsink条件で行われるので、表面析出は非攪拌水層内におけるフリー体の高い過飽和により発生します。
一方、non-sink条件における「粒子」溶出の場合、小さい粒子は素早く溶けるため、バルク溶液からの析出により過飽和が抑制されると、”なんとなく”考えられているのではないでしょうか?(例:Spring and parachute)。
しかし、実際には、粒子表面にフリー体が析出する場合もあるのではないかと思い、研究をしています。特に共結晶は、表面のpH勾配が無いので、表面析出が起きやすいと思います。
しかし、IDRで用いる円盤(disk)と比べて、水中に浮遊している小さい粒子表面でフリー体析出が発生していることを実験的に証明するのは、意外と難しいのです。
そこで、最近、原薬「粒子」表面析出について研究する方法を幾つか提案しています。この分野は、まだまだ発展の余地がかなりあります。是非、応援してくださいね。
Omori, M., Uekusa, T., Oki, J., Inoue, D., & Sugano, K. (2020). Solution-mediated phase transformation at particle surface during cocrystal dissolution. Journal of Drug Delivery Science and Technology, 56, 101566.
共結晶が、粒子の外形を残したまま、瞬時にフリー体(の凝集体)に変化するのが面白い。また、非攪拌層を透過する平均時間(mean diffusion time, tdiff)と非攪拌水層におけるinduction time (tind)を考えることで表面析出の発生を、ある程度考察できるのではないかと考えています。
Uekusa, T., Oki, J., Omori, M., Watanabe, D., Inoue, D., & Sugano, K. (2020). Effect of buffer capacity on dissolution and supersaturation profiles of pioglitazone hydrochloride. Journal of Drug Delivery Science and Technology, 55, 101492.
緩衝能が粒子表面析出に与える影響。緩衝能で過飽和が大きく影響を受ける。JP2やFaSSIFの緩衝能で大丈夫?
Oki, J., Watanabe, D., Uekusa, T., & Sugano, K. (2019). Mechanism of supersaturation suppression in dissolution process of acidic drug salt. Molecular pharmaceutics, 16(4), 1669-1677.
表面でLLPS→結晶化。偏光顕微鏡の実力発揮!JP1で大丈夫?
ジクロフェナック(pKa = 4)の平衡溶解度はpH < 3ではほぼ同じですが、
過飽和はpH 1.2と2.0でこんなに違う?!と驚きの結果になりました。
Uekusa, T., & Sugano, K. (2018). Precipitation behavior of pioglitazone on the particle surface of hydrochloride salt in biorelevant media. Journal of pharmaceutical and biomedical analysis, 161, 45-50.
百聞は一見に如かず。粒子の固定方法は一見単純ですが、実はかなり試行錯誤しました。