インターンシップ体験記 ~先輩に続け!!御船高校トリオの挑戦~

2022-11-17
熊本味岡生コンクリート㈱第一工場戸島では、令和4年10月17日(月)~21日(金)の5日間に渡り、御船高等学校 電子機械科2年生の男子生徒3名をインターンシップ実習生として受け入れた。
3人は熊本市の中央区、東区、南区とそれぞれ住まいが離れており、近接する生コン工場は他にもあるが、同高校の卒業生が3年前に同社でインターシップを経験し、その後、そのまま同社に就職したことを教諭から聞き及んだため、3人とも熊本味岡生コンクリートに希望を出し、5日間の実習が始まることとなった。
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【DAY1】
いよいよ私たち3人の5日間のインターンシップが始まる。
熊本味岡生コンクリートをインターンシップ先として希望したきっかけは、既に卒業した高校の先輩が在学中にこちらでインターンシップを体験し、卒業後にはそこに就職したという話を先生から聞いたからだ。
しかもその先輩は元々、大工志望だったがインターンシップを経て生コン業に興味を持ったとのこと。
是非、先輩と同じ工場で生コンの事を知りたい!」と思い、すぐにこちらに希望を出すことにした。
初めに工場長から紹介をいただき、工場の各部署の皆様にこれからお世話になることのご挨拶をさせていただいた。
ちなみに楽しみにしていた卒業生のY先輩との対面は、残念ながら怪我による療養中とのことで叶わず、次回に持ち越しとなった。
一通り挨拶を終えた後はさっそく実習開始だ。
まずは工場長に案内をいただき工場施設を見学。多くの車が行き来する場内を安全確保しながら見学して回り、骨材のヤードからプラント内へ説明を受けながら移動することでコンクリートに必要な材料がどのような工程で練り混ぜられていくのかを学ぶことができた。
プラント内は稼働中には騒音がすさまじいが、工場長の拡声器いらずの大きな地声のおかげでしっかりと説明を聞き取ることができた。
やはりこの業界では現場で危険を素早く伝えたり、指示を正確に伝えるためにも大きな声を出すことが必要なのだと実感した。
施設の見学から試験室に戻ると、生コンクリート工業組合が作成している「生コンクリート製造業ガイドブック」を見せていただいた。見開きで生コンクリートが練り上げられるまでのイラストや写真があったのでさきほど見学した事をおさらいすることができた。
次に「熊本県建設技術センター」に見学に行くことになった。コンクリートなどの材料試験を行う機関とのこと。「県から委託を受けた公的な機関が試験を実施することで結果の信頼性を担保する」のだと教えていただいた。
到着すると建設技術センターの試験部長さんがお忙しい中に丁寧に試験場内を案内してくれた。コンクリート供試体の圧縮強度試験機や曲げ強度試験機、骨材の安定性試験装置などを見ることができた。
緻密かつ丁寧な試験を経て合格できた資材が私たちの社会インフラを整備しているのだと実感することができた。
午後からはスランプ試験と空気量試験の実技体験だ。
スランプ試験は生コンの固さ(柔らかさ)を測る試験で、空気量試験は生コンに何%空気が入っているかを試験するために行うもので、どちらも注文通りの生コンが練られているかを確認する為の大事な試験とのこと。
まずは試験課 中堅のYさんにお手本を見せていただいた。流れるようなスムーズさで簡単そうに見えてしまう。ところが真似してみるとなかなかうまくいかない。特にスランプはどうしても崩れてしまう。「最終日にもう一度二つの試験の実技を行ってもらうから、よく練習しておくように。」と言われた。
インターン終了時間まで時間の許す限り3人で試験実技を練習して初日は終了した。

【DAY2】
インターシップ2日目。本日は生コン工場試験室における日課と言っても過言ではないと言われる供試体のキャッピング作業を体験した。作業の目的は供試体上面をきれいで滑らかにすることで、圧縮強度試験の際に正しい試験値が出るようにする為、とのことだ。作業の手順としてはまず、前日に型枠につめた供試体のレイタンスを除去する。このとき表面がぼこぼこしているので、これを滑らかにしていく。練り上げたセメントペーストをこてですりつけ、ペーストをならし、ガラス板で表面を押し付ける。
お手本を試験課ベテランのYさんにみせていただいたが驚かされたのがその動きの俊敏さだ。通常の人間の倍速のようで職人技の一端を見た気がした。
次は圧縮強度試験機による試験の実技だ。水槽から引き上げた供試体の質量を測り、試験機にセットしてスイッチを押す。そして計測された強度をパソコンに入力していく。このようにして現場ごとに打設された生コンの強度は管理されていることを学んだ。
2日目の最後は生コンの空気量を測定するエアメーターのキャリブレーション(検査)を行った。苦戦したのが容器の中を水で満たして一切空気が入ってない状態にすることだった。油断すると微細な泡が入ってしまい、そのたびにやり直しで、神経を割く作業なのだと感じた。検査は無事に終了して2日目が終了した。

【DAY3】
インターシップ3日目。今日は嬉しいことに高校の先輩で、現在は熊本味岡生コンクリート㈱に勤務されているY先輩にお会いすることが出来た。まだ怪我の療養中にもかかわらず顔出しにきてくれたとのことで、そのお気遣いに感謝したい。先輩からの激励の言葉を聴くことで、改めてやる気が漲る気がした。
実習では細骨材と粗骨材の表面水率試験を体験した。
骨材の表面に付着している水分量を測定することで、生コンの配合設計時に適切な水量を考慮するために実施するとのこと。
また骨材の密度の大小を把握することも、生コンの配合計画を考えるうえで大事な要素であるとのこと。
地道な作業だが、このような作業を継続して丁寧に行うことが適切な品質管理につながるのだと学んだ。
最後に全国生コンクリート工業組合連合会が製作したコンクリート試験方法を紹介するDVDを鑑賞して3日目が終了。鑑賞中の睡魔に打ち勝つことができた自分達を褒めたい。また、眠気覚ましのエナジードリンクを差し入れてくれた工場長にも感謝します。

【DAY4】
インターシップ4日目。今日はいよいよ工事現場の見学だ。しかも菊陽町に建設中の半導体受託生産工場 台湾積体電路製造(TSMC)の現場とのこと。ニュース等でいつも見かける大規模な現場をみせてもらえるとは期待に胸が高鳴る。ヘルメットと安全帯を着用してトラックアジテータ車に乗せていただき、いざ現場へ。
到着すると、建築中の建物や稼働するクレーン、行きかう大型車など、とにかく何もかもの規模が大きい。
まさに圧巻の景色だった。携帯のカメラで現場の模様を撮影したかったが、「写真撮影禁止。SNSに写真をアップするのも厳禁」と事前に言われていたのでそこは我慢した。
現場ではトラックアジテータ車からポンプ車に生コンを納入するところや、引き取った試料で受入れ検査を実施するところを見学した。
立ち会いの人が見守る緊張のひと時だが、試験課のダブルYさんたちは流石の手際で見事に受入れ検査に合格していた。生コン工場の技術者は工事現場で毎回、このように検査を合格して生コンを打設していると知り、とても責任は重いがやりがいのある仕事だと感じた。
見学中は工事現場の迫力と作業員の数の多さなどに圧倒されていたが、ベテランの技術者の方でさえも「この規模の現場は一生に一度見れるかどうかだ。」と仰っていた。
このような現場を見学できるように段取りしていただき、本当にありがたかった。写真は撮れなかったが、しっかりと記憶に焼き付けたいと思う。
国家プロジェクトと言っても過言ではないような現場を見学でき、大満足して4日目は終了した。

【DAY5】
今日はインターシップ最終日。初日の宿題だったスランプ試験を再度実施。まずは試験課O課長のお手本を拝見。飄々とした様子で突き棒を使用しながらスランプコーンを生コンで満たして、ゆっくりと引き抜くとそこにはきれいな形状の生コンがあった。流石だ。同じように作業しているつもりでも些細な手際でこんなにも変わるものかと感じた。ただし期間中は何度も工程検査用の試料で練習した甲斐もあり、3人とも初日よりは格段に上手に試験を行うことができるようになっていた。優しいご指導のおかげだ。
次に細骨材の吸水率と密度の試験を行った。細骨材の吸水率はコンクリートの強度発現性や耐久性に影響をおよぼすので大事な試験だと教えて頂いた。
作業の中で骨材のふるい分けも行ったが、これは地味だが腕へのダメージは段々と蓄積され、しかも中腰の作業で腰にも負荷がかかる大変な作業だった。日頃の部活動で鍛えてはいたのだが途中、腰が悲鳴をあげそうだったので床に座り込んで作業を継続した。生コン業は頭も使うが肉体も頑健でないといけないのだと実感した。
最後にO課長より5日間のまとめとして、特に生コンの品質管理について重要なポイント、技術者としての心構えなどの訓示をいただき、工場長より修了証を授与されてインターシップは終了した。
工場長からは「卒業後は縁があればうちに来てほしいが、まずはいろいろな業界を見てみるのも良いと思う。そのうえでうちに来たくなったら、しっかり面接する。」と言っていただいた。
その言葉を励みに、生コン工場への就職希望が叶うようにこれからの学生生活を精進したいと思います。5日間、ありがとうございました。

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今回の学生は、はじめから将来は生コン業に就くことを希望していたこともあり、何事にも積極的でよく質問も飛び交い、充実したインターシップだったように思われました。また3人が仲良くコミュニケーションを取りながら協力して作業に臨んでいた姿も印象的でした。
最後に熊本味岡生コンクリート㈱におかれましてはご多忙にも関わらず5日間に渡り、インターン生を受入れていただき、工場長はじめ、社員、現場の方々、関係者の皆様が懇切丁寧に学生を指導していただきましたことに心より感謝申し上げます。                                  工業組合事務局