主な活動場所
insecter(虫屋)として身近な昆虫をはじめとした自然観察を行なっています。

 蛾の標本作成⑵

2023-04-23
どうもこんにちは、insecterです。今回は前回展翅した蛾たちを標本箱に移しました。

まず、蛾の標本を展翅板から外します。待針を抜いてクッキングシートを剥がすだけですが、ここを丁寧にしないとデリケートな蛾の翅が破れてしまいます。待針は一本ずつ抜きましょう。

次に、ラベルを付けます。このラベルには採集地・最終年月日・採集者の名前の3つを書きます。詳しくはテントウムシの標本作成⑵をご覧ください。上の写真はオオシモフリスズメ(学名Langia zenzeroides・チョウ目スズメガ科)ですが、下はイボタガ(学名Brahmaea japonica・チョウ目イボタガ科)とエゾヨツメ(学名Aglia japonica・チョウ目ヤママユガ科)です。イボタガの模様は唯一無二ですね。おそらくイボタガは「日本一モノクロにしても美しい昆虫」だと思います。ただしこの模様はとても美しい反面、人によっては非常に気持ち悪いと思うかもしれません。このイボタガは幼虫も唯一無二な姿をしているので調べてみてください。

そしてエゾヨツメは後翅の紋がなんとも言えぬ輝きを放っていますね。この紋は写真だと瑠璃色に輝いていますが、光の当たり方によっては鼠色に見えます。このように角度によって色が変わることを「構造色」と言い、代表的なものだとタマムシの仲間やカモの羽根があります。

この蛾たちは手作り標本箱に入れました。手作り標本箱の作り方についてはテントウムシの標本作成⑶をご覧ください。

ちなみに蝶の標本もこの方法で作れます。あとで知ったのですが、上の3種の蛾は蛾屋(虫屋の中でさらに蛾を専門としている方々)の間では「春の三大蛾」と呼ばれているそうです。