主な活動場所
insecter(虫屋)として身近な昆虫をはじめとした自然観察を行なっています。

 蛾の標本作成

2023-04-07
どうもこんにちは、insecterです。今回は前回記した通り蛾の標本を作っていきます。

前回のブログで紹介したライトトラップで私はエゾヨツメ、イボタガ、オオシモフリスズメを頂いたので持って帰って展翅(標本にするため、昆虫の翅を広げること)することにしました。生き物を殺して集めることに否定的な意見を持つ人がいますが、私はその地域の生態系を理解するのに必要なことだと思い、各地の昆虫を採集しています。

まず、捕まえた蛾を〆ます。小さめな蛾は胸部を潰したり、酢酸エチルの蒸気の中に入れたりすることで殺せますが、大きな蛾の場合はそうはいかないのでアンモニア注射をするのが一般的です。ところがほとんどの家庭にアンモニアや注射器は無いので冷凍〆くらいしか出来ないでしょう。

冷凍〆をするにはまず、蛾を何かの容器に入れて冷蔵室に入れます。といっても昆虫を食品と同じ所に入れるのは抵抗感を持つ人が多い(ちなみに私は全く感じません)でしょうから、清潔な袋などに入れて二重にすると良いでしょう。ここで冷凍室ではなく冷蔵室に入れるのは、翅を広げた形で殺すためです。元気なままいきなり冷凍室に入れると変なポーズで死んでしまい後で展翅しにくくなります。冷蔵室に数分入れて大人しくなったら冷凍室に移しましょう。

しかし巨大なオオシモフリスズメは冷蔵室に入れると逆に体温を上げようと羽ばたき出したので、すぐに冷凍室に入れました。冷凍室の中でも2分くらい羽ばたいたようですが、さすがに寒いのか大人しくなりました。

いくら大きな蛾でも20〜30分冷凍室に入れておけば凍死するようです。しっかりと冷凍して殺していないと展翅してから動き出してしまうのでここは30分入れておきましょう。

次に展翅板を作ります。蛾を冷凍室から出したばかりだと凍って展翅出来ないので展翅板を作っている間に解凍させます。展翅板を作るのに必要な物はこちらです。ウレタン板or発泡スチロール板
ボンド
クッキングシート
カッターナイフ
はさみ
待針
(写真の中に昆虫針が入っていますが展翅板を作るのに必要はありません)

まず板をカッターナイフで切ります。展翅する昆虫の大きさによって大きさを変えますが、このような中〜大型の蛾の場合は下のように切れば丁度いいと思います。横幅7cm、7cm、16cmで縦は適当で良いですが、3枚の板全てが同じ長さの長方形にするようにします。

後はこれら3枚の板をボンドで下の写真のように貼り、同じように細長く切ったクッキングシートを待針で止めるだけです。次回はいよいよ展翅の様子を紹介する予定です。