主な活動場所
insecter(虫屋)として身近な昆虫をはじめとした自然観察を行なっています。

 春を待ち侘びて

2023-03-06
どうもこんにちは、insecterです。今回はテントウムシの標本を標本箱に入れる作業をお伝えする予定でしたが、紹介したい昆虫がいるのでそれを紹介します。

今日は3月6日・啓蟄です。啓蟄は冬ごもりをしていた虫たちが穴から出てくるという二十四節気の一つです。昆虫たちが出てくるのは私としてはとても嬉しいのですが、その前にやっておきたい事があります。

という訳でおととい家から車で30分ほどのところにある山である昆虫を探しました。今回私が探した昆虫は冬眠中のオサムシです。オサムシとは夜行性の地面を徘徊する肉食のコウチュウの仲間です。オサムシは冬になると崖の土中や倒木の隙間で冬眠するので、そういった所を探すと冬眠中のオサムシを見つけることが出来ます。

早速、崖のふちをショベルで掘ってみると、イチゴ大の穴の中に黒い蜂が出てきました。しばらくしてまたもや蜂が出てきましたが、前のものより一回り大きくてオレンジ色をしています。この2種の蜂はコマルハナバチ(学名Bombus ardens・ハチ目ミツバチ科)とトラマルハナバチ(学名Bombus diversus・ハチ目ミツバチ科)で、いずれも冬眠中の女王蜂です。下の写真の上側がコマルで下側がトラマルです。どちらもモフモフで可愛いですね。ちなみにこれらの蜂は刺しますが、越冬中の女王蜂は動きが鈍いので刺そうとは全くしません。ただし、暖かくなると女王蜂も刺しますので、「女王蜂は刺さない」と勘違いしないでください。目標のオサムシとは違いますが、私の好きなマルハナバチの女王蜂が見つけられたので嬉しいです。

そしてトラマルの近くで別の昆虫も見つけました。こちらはオサムシに近いゴミムシという昆虫の仲間のアトボシアオゴミムシ(学名Chlaenius naeviger・コウチュウ目オサムシ科)です。

その他にも小さなハチの一種とフジハムシ(学名Gonioctena rubripennis・コウチュウ目ハムシ科)を見つけました。フジハムシはハムシの仲間ですが、ハムシが気になった方もいると思います。ハムシとは葉を食べるコウチュウです。ハムシは種類によって色や形、食べる植物(食草・食樹という)が違います。このフジハムシは山に住んでいて、その名の通りフジ(学名Wisteria floribunda・マメ目マメ科)の葉を食べます。写真の個体は鞘翅が茶色ですが、通常は鮮やかな朱色をしています。フジハムシは成虫で越冬することを知りました。

結局オサムシは見つけられませんでしたが、色々な昆虫を見つけられたので満足しています。オサムシはまた今度探そうと思います。