主な活動場所
insecter(虫屋)として身近な昆虫をはじめとした自然観察を行なっています。

 テントウムシの標本作成

2023-02-25
どうもこんにちは、insecterです。今回は前回記した通り、ナミテントウの標本を作っていきます。

その前に、標本について「残酷」「かわいそう」などという意見を聞きますが、私は標本を作る事についてはこう考えています。確かに標本を作るにはその昆虫の命を奪わなければなりません。しかし標本を作る事はその時、その場所にいた昆虫を記録する事であり、未来の人類の財産となるはずです。しかもその標本を調べることでその種を保護するためのヒントも見えてくるかもしれません。ただし、そのためには標本ひとつひとつにラベルを付け、大事に保管しなければなりません。また、趣味で飾るために標本を作る方もいますが、目を楽しませるために命を奪うという点ではドライフラワーや毛皮のコートなどと変わらないと思います。

話が長くなってしまいましたが、標本作成に必要な道具はこちらです。
・小型のタッパー
・先のとがったピンセット
・発泡スチロール板
・画用紙
・昆虫針
・衣料用の防虫剤
昆虫針以外は私の家の近くの100均に売っていますが、昆虫針が売ってある店は見たことがありません。昆虫針をネットで買う際におすすめなのは『有頭志賀昆虫針3号』です。志賀昆虫の昆虫針は00号から6号までありますが、3号は幅広いサイズの昆虫に使えます。

ではまず捕まえたテントウムシを殺します。私は酢酸エチルを使って殺しますが、ほとんどの家にそんな薬品は無いでしょう。私もネットで探したのですが冷凍〆と熱湯〆くらいしか見つかりませんでした。成虫越冬が出来るテントウムシなら熱湯〆がいいでしょう。私もしたことがないので詳しい方法は分かりませんが、沸騰した湯では色が変わってしまうので70℃くらいの湯にサッと通すだけで良いでしょう。

そして〆たテントウムシをタッパーの中で丁寧にすすいで汚れを落とします。

洗ったテントウムシはティッシュペーパーの上に載せて水気を取ります。タッパーの中の水は捨て、今度は水道水で濡らしたティッシュペーパーを入れます。そしてそのタッパーにテントウムシを入れて1〜2日置きます。こうすると関節が柔らかくなって展足(脚や触覚などを整形すること)しやすくなります。またタッパーに消毒用のアルコールを少しスプレーしておくと腐敗しにくくなるでしょう。

翌日、テントウムシの様子を見てみましょう。ピンセットでつまんで脚を動かしてみましょう。簡単に動くようなら展足を始めますが、動かしにくいならもう少し置いて様子を見ます。ただし、置きすぎると腐敗が始まるので気を付けてください。

テントウムシは発泡スチロール板の上で展足しましょう。タッパーから出したテントウムシは、脚をすくめています。ひっくり返して脚の符節をピンセットでつまみ、左右に振ると遠心力で脚が伸びます。下の写真の赤丸の部分が符節です。全ての脚を伸ばしたら、またひっくり返し、脚を引っ張って伸ばします。符節の全体が上から見えたら良いでしょう。一通り整形できたら、忘れないように捕まえた場所と日付をメモしておきましょう。

それから日光の当たらない涼しい所において乾燥させるのですが、毎日様子を見るようにしましょう。そして脚が縮んでいたりしたらまたピンセットで伸ばしてあげましょう。

次回は、標本作成の続きを紹介する予定です。