主な活動場所
愛知県大府市内の公共施設
(おもに東山公民館ですが、たまに変更あります)

 強い先生に教わる vs 色んな人とたくさん対局する、どちらが良い?

2023-06-14
当クラブの入会者には最初に説明することですが、おおぶ将棋クラブは教室ではなく、年齢性別問わず色んな人と対局を楽しむことを第一目的とした道場風のクラブです。いろんな将棋をたくさん指すことで、結果として楽しみながら強くなることをめざしています。

将棋の強くなる方法は、戦法の本を読んだり、将棋教室で強い先生に教わる・詰将棋や次の一手問題を解くなど、いろいろな方法があります。自分に合った方法に取り組めばよいのですが、色んな人とたくさん対局して楽しむだけでほんとうに強くなれるの? と疑問を感じる方も見えるかもしれません。

強くなるのには多くの対局経験が必要、というのは、おおくの方が実感をもって経験されていることですが、それがどうしてなのか、実証的にはなかなか説明しにくいことです。そのように思っていたなか、AIの深層学習に関する研究で、興味深い成果が出ていることを知りました。

中部大学の藤吉先生によると、「優秀な生徒が周りに多数いれば、教師はいらない」との結果が得られたというのです。(下記講演動画2noteの記事

知識蒸留という手法で効率よくAIが画像認識の学習をするネットワークの構成について研究されたもので、ノード数(学習に参加する人の数)が2か3の場合では教師役のノードから生徒役のノードに知識転移するやり方がもっとも良い学習成果が得られるのですが、ノード数4以上になるともはや先生を頼りにするよりも、生徒役のノード同士で教えあう共同学習ネットワークが最もパフォーマンスが高い結果が得られているとのことです。

図のノード数3の青マルが教師ネットワークですが、ノード数が4以上になると、教師なしで生徒同士で教えあったほうが正解の認識率が高くなっていることが分かります。
この研究はAIの深層学習における共同学習の傾向、という但し書きがついてますが、もしかしたら実際の教育現場でも同じことが言えるのではないかと、個人的にはとても興味深い成果だと思います。藤吉先生も
「実際の教育現場,例えば大学の講義室でも、もしかしたら同じことが言えるのかもしれない」
とコメントされています。(下記noteの記事

将棋でいうと棋力の高い先生について教室とかで教わるのも良い方法だけど、いろんな人とたくさん指して強くなるという勉強のやり方もそんなに悪くない...?ということなのかなと、ふと思ったのです。

おおぶ将棋クラブ、じつはそのような方針で運営していることもあり、期待しています...。

藤吉弘亘 素人発想玄人実行2.0 noteの記事
https://note.com/hf149/n/ncfcde728e827

藤吉先生の講演動画1 かなり専門的ですが、ところどころ普通の人でも分かりやすい譬えで語られています。
https://vimeo.com/686130389

藤吉先生の講演動画2 知識転移グラフによる複数ネットワークモデルの共同学習
https://vimeo.com/558352119