塚本先生の拝師式に養芯会が参加しました!

2016-05-11
 去る5月1日に、当会の総師範である塚本先生の「拝師の儀」が河南省洛陽、及び太極拳発祥の地である陳家溝にて執り行われました。既に正式に陳氏太極拳第十一代伝人としての地位が認められていましたが、この度、改めて古式に乗っ取った儀式が執り行われる運びとなり、会としてこれに立ち会う事になりました。
 第十一代伝人という地位は、世界中に太極拳を普及した功労者で偉人である著名な先生方と太極拳の歴史の上で同格、外国人の伝人として最も古い格を受けた事になります。「拝師の儀」に立ち会うという事は、当会の活動が陳氏太極拳の正流として認められ、様々な責任を受け継ぐ立場になったという事だと言われ、一同気持ちを新たにしました。

 同日午前、先ずは洛陽にある第十代伝人鄭旭東師翁の武館にて、塚本先生の鄭師翁に対する「拝師の儀」が執り行われました。媒酌人に風水師を呼び、祭壇を設け、略式ながら古式にのっとった儀式が進められ、鄭師翁より塚本走師範に直弟子であり第十一代伝人であることを証明する門人標が改めて手渡されました。

 日本で言う入門と違い、中国伝統文化の中の入門は『一門の家族として認められ、権利を得、義務を負う』を意味します。
 午後には当会を含めた鄭一門総勢20名強で陳家溝に移動し、第九代伝人にして旧四大金剛に列せられる名人であった王雁(1900-1980年)への「拝師の儀」を執り行いました。

 陳家溝は洛陽市から南西に70kmほどに位置する農村で、その名は「陳一族の住む、溝のある場所」という意味を持ちます。その700年以上になんなんとする陳一族の歴史の中で、陳王延(1600-1680)により太極拳が生み出され、以後陳氏太極拳として受け継がれてきました。
 第十一代伝人という立場は、この開祖である陳王延から数えて十一代目の技術正式継承者であるということを示します。
 また、今日では楊式、呉式、或いは二十四式など様々な種類の太極拳がありますが、いずれも陳氏太極拳から枝分かれした分派か、或いはそれをベースとして健康体操として編纂されたものです。それ故、陳一族により生み出され継承されてきた陳氏太極拳が全ての太極拳の源流であり、陳一族の住む陳家溝こそが太極拳発祥の地であり聖地なのです。世界の太極拳愛好家が一度は訪れてみたい処、それが陳家溝です。
 
 さて、一連の「拝師の儀」には10人を越す当会会員も上海本部、青島支部、名古屋支部から参加しお手伝いをさせて頂きました。武林是一家(武術を学ぶものは皆兄弟)という言葉があるように、中国伝統武術を学ぶ者のつながりは非常に強く、同門であればそれは尚更です。我々は家族の一員として中国伝統文化の世界に身を置き、風水に基づいた儀式を体験し、先達の言葉に耳を傾け薫陶を受ける機会に恵まれました。出自や言葉の壁を超えて同じ師を仰ぎ、伴に練習の汗を流し学び教わり、協力しながら食事を作りこれを食べ、酒と会話を酌み交わし、お互いの理解を深めました。これは陳氏太極拳という伝統武術を介さなければ成し得ない体験であり、当会の目指す文化交流の姿です。

 当会としては陳氏太極拳の鍛錬や養生のみならず、このような伝統文化に根ざした交流を通じ、日中の懸け橋となることを目指します。