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横浜市鶴見区社会福祉協議会の
団体交流室

 詩篇88

2025-02-28

美しい詩を読むと心が豊かになります。本当はメロディーがあったはずです。
聖歌隊の指揮者によってマハラテ・レアノテのしらべにあわせてうたわせたコラの子の歌、さんび。エズラびとヘマンのマスキールの歌です。
「わが神、主よ、わたしは昼、助けを呼び求め、夜、み前に叫び求めます。わたしの祈をみ前にいたらせ、わたしの叫びに耳を傾けてください。」(1,2節)
へマンは神に、昼夜叫び求めています。必死の祈りのようです。
「わたしの魂は悩みに満ち、わたしのいのちは陰府に近づきます。わたしは穴に下る者のうちに数えられ、力のない人のようになりました。」(3,4節)
悩みが深く、墓に葬られる人のようだと歌います。
「あなたはわたしを深い穴、暗い所、深い淵に置かれました。あなたの怒りはわたしの上に重く、あなたはもろもろの波をもって/わたしを苦しめられました。」(6,7節)
神からの怒りは何度も波のようにヘマンを苦しめ、墓に置かれたように感じたのでしょう。
「あなたはわが知り人をわたしから遠ざけ、わたしを彼らの忌みきらう者とされました。わたしは閉じこめられて、のがれることはできません。」(8節)
もしかしたら、へマンはハンセン病に感染して隔離されたのかもしれません。
「あなたは死んだ者のために/奇跡を行われるでしょうか。なき人のたましいは起きあがって/あなたをほめたたえるでしょうか。」(10節)
実際に復活の奇跡を行えるのは真の神だけです。へマンは死んだような状態でしたから、魂の復活を希望したのでしょう。
「わたしは若い時から苦しんで死ぬばかりです。あなたの脅かしにあって衰えはてました。」(15節)
へマンは長年罪の苦しみを経験してきたようです。
「あなたは愛する者と友とをわたしから遠ざけ、わたしの知り人を暗やみにおかれました。」(18節)
へマンの愛する人や友から遠ざけられるのはとても苦しいことです。知り合いの人も亡くなったようです。これで88篇は終わっています。詩篇で最も暗い歌と思われます。なぜ、このような詩が聖書にあるのか?それは、このように死なんばかりの状態になっている人の気持ちが描かれているからです。
現在、うつ病と診断されている人が世界的に増えているようです。世界情勢の不安や将来の不透明な状況や貧困、犯罪、暴力、戦争等、数えれば限りなく不安要素があります。心の問題ではありますが、環境要因も関わっているようです。心の安定なくして、人生を楽しむことは難しいでしょう。人と人の繋がりを強めれば、励ましあったり、慰めあったりすることができるはずです。
世界は物質だけでは成り立っていません。目に見えない霊的な要素があるのです。